キカガク代表のブログ

機械学習や人工知能について書きます。たまにはプライベートも。

起業して見えてきた『学生起業』と『社会人起業』のそれぞれの強み

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はじめに

今日は前から書きたいと思っていた『学生起業』と『社会人起業』についてです。

なぜかというと、私自身が新卒で入社した会社を7ヶ月で辞め、ほとんど学生みたいな気分ですが、一応会社の仕組みは一通り体験しているといったことから、他の人よりは両方の気持ちがわかるのではと思うためです。

しかし、どちらかと言えば間違いなく『社会人起業』側の人間です。

両方の良い面を見ていただき、今後起業される方がされる後悔を少しでも少なくできればと思っています。

色々ともっともらしいことを書いていますが、起業は楽しいことも辛いこともあり、考えても始まりません。

そのため、結論としては「思い立ったが吉日」と無難に着地しておりますので、ご容赦ください。

学生起業の強みは圧倒的な『勢い』

「これだけなの?」とお思いの方も多いと思いますが、学生の強みは『全く重くない腰』から生まれる圧倒的な『勢い』です。

一度社会人を体験すると、ほぼ間違いなく上司が付き、何をするにもその上司の許可が必要となる『型』にはまって仕事をします。

上司もその上司に色々と許可を取る必要があるため、何をするにも痒すぎると感じる人も多いのではないでしょうか。

この上司がついて型にはまって仕事をすることは悪いことではない、むしろ経験豊富な上司から失敗する前にアドバイスを貰えるので良いことなのですが、ひとつだけ気になることがあります。

それは、『そもそも上司が常に正解であるか』ということです。

よくあるやり取り

新入り「こういう物を作ると面白いし売れると思うんですけど!」

上司「そうは思えないけど、なぜ売れそうかもう少しターゲットを分解して、どの層にどれくらい売れるか教えてくれるか?それに対して予算を決めていかなければいけないからね。」

新入り「。。。(新しい試みだから売ってみなきゃわからないじゃん。)」

新入り「承知しました。再度検討し直します(テンション下がった。もうこの件はフェードアウトさせよう。)。」

上司は『正解』なのか

先程のやり取りでは、上司の言い分がもっともらしく聞こえます。

会社としては、何に対しどのぐらいの予算を使っていくかといったトップダウンで考えていくのが当然であり、予算を獲得する以上は、どのくらいの売上が立つのか、企業価値向上にどの程度貢献するのかといったことを皮算用でも定量的に示す必要があります。

しかし、100%売れるということがわかっている上司であれば、絶対に従うべきですが、数年から十数年上の上司が売れることに関する『正解』とは限らないのではないでしょうか。

これでは、売れるかもしれないチャンスの芽を摘んでしまっている可能性があるかも知れません。

正解か不正解かは市場が決めます。

学生起業の人たちは、まずプロダクトを作り、市場に答えを聞いてみることを素早く出来ています。

学生起業の強み『まとめ』

結論:『型』にはまらない勢い

若者は面白そうだと思ったものに対する『勢い』がすごいため、『面白そう』という一点だけでも頑張れます。

社会人は一度『型』にはまるため、どうしても考える癖がつき、行動が遅くなってしまいます。

考えることは悪いことじゃないと思うかもしれませんが、答えの分からないものを考えることが多く、それは考えるではなく、無駄に『悩む』だけだったりします。

そういった理由で、『怖いもの知らずの勢い』でプロダクトを作り上げられるのが、やっぱり学生起業の強みだと思います。

社会人起業の強みは『toB』のビジネスができること

最近、経営者の方と、安定して収入が得られるのは間違いなく『toB』という話をします。

toB』とはBusinessを相手にする商売のことであり、『BtoB』でBusiness to Business、つまり法人間の商売のことを指します。

それに対し、個人を顧客に商売をするときは『toC』のto Customerといいます。

学生起業のサービスの多くは『toC

学生起業の方を見ていると、圧倒的に『toC』のサービスを展開している人が多いと感じます。

なぜなら、彼らには『商売相手はCustomerである』という感覚が強くあるためです。

私も学生時代は、「自分だったらこういうサービスが欲しい」と新サービスを考える際の基準にしていました。

この時点で、基本的には『toC』のサービスを考えるようになっています。

toC』のサービスは広まった際の『知名度』という非常に大きなメリットがありますが、最大のデメリットとして『安定しない』ことがあります。

想像してみてください。

最近、類似のアプリをいくつ乗り換えたでしょうか。

今や当たり前のように使っている「LINE」、「Facebook」、「Twitter」、「Instagram」はいつから使っているでしょうか。

そう考えると、5年くらいではないでしょうか。

つまり、5年前まで当たり前のように使われていたコミュニケーション系のアプリはすでにほとんど使われなくなっており、新しいものが出るとすぐに取って代わられるリスクが伴います。

ユーザーは自分自身が納得いくものを使えば良いだけなので、流動性が高く、これがビジネスを展開する上での大きなリスクとなります。

社会人経験によって世の中のお金の相場が見えてくる

社会人を経験すると、会社というものの仕組みの良いところをも悪いところも生で見ることができます。

また、会社で使うお金のスケールを知ることもできます。

学生のときは日給1万円貰えれば高いと思っていたけれど、会社だと『人月80万円』というように、人が一人働くだけで80万円動くのが、当たり前のようにどこでも行われています。

学生では、このお金のスケールを体感せず、必死にバイトして『月に10〜20万円』という金銭感覚が染み付いている人も多いのではないでしょうか。

この金銭感覚を間違えると、商品のプライシングを全く履き違え、安すぎる商品を売ってしまうことがあります。 これは、最初売れるかも知れませんが、スケールが厳しくなってくることと、業界の相場を崩してしまう(価値を下げる)ことに繋がるので、値段を下げることが良いこととは限りません。

社会人時代に感じた改善点こそ『toB』のチャンス

会社に入ってみると、改善すべき点はたくさん見えてきます。

toC』のサービスほど派手ではないですが、費用対効果を正しく伝えることができれば導入の難易度は高くなく、対比する相手が『人件費』であるため、Webアプリケーションとはいえ、『toC』と比較すると高い金額でサービスを提供できます。

そして、『toB』は個人の問題ではないため、一度導入されると継続される可能性が高いです。

好奇心旺盛な学生が思っている以上に、社会人は現状を変えることを嫌います。

これは『hate』の嫌い程度ではなく、『fu×k』レベルの嫌いです。

つまり『一度導入されると売れ続ける』ということに繋がります。

流動性の高い『toC』のサービスと比べると、リスクが低いといえます。

よく言われているが起業してみると痛感するクレジットカードのありがたみ

『起業 準備』と検索すると、間違いなく出てくる『クレジットカード』のお話。

このあたりは、Twitterでも書いているので、こちらを引用します。

いかがでしょうか。

学生時代の貯金ではそんなにないでしょうし、さらにクレジットカードも上限の低いものしか作ることができない。

そうなると、開発やマーケティング等で必要なお金はVCやエンジェル投資家の方から出資を受ける選択が濃厚となります。

もちろん、VCの方は資金面でも支援してくださいますし、何よりビジネスのサポートと業界の方への情報拡散によるマーケティングのサポートもしてくださいます。 ← 最初はお金よりも後者のサポートの方が強力です。

VCやエンジェル投資家の方を頼ることは全く悪いことではありませんが、学生起業ではこの選択肢でほぼ一択になることに対し、社会人起業であれば『自己資金』で運営することも可能です。

『自己資金』の何が良いかというと、『すべての意思決定を自分でできる』ことだと思います。

会社員が嫌でせっかく起業したのに、結局、VCやエンジェル投資家の方の意見が気になってしまうという声も正直少なくありません。

ただ、経験豊富なVCやエンジェル投資家の方からいただけるアドバイスは、耳が痛くても、プロの声なので、成功率を高めてくれる素晴らしい情報でもあります。

このあたりは『一長一短』ですので、好きな方を選べば良いかと思います。

長くなりましたが、社会人起業の強みは、これを『選択できる』というところです。

社会人起業の強み『まとめ』

結論:

・ビジネスの金銭感覚の相場を把握できている

・Bにいたからこそ、『toB』向けサービスの切り口がわかる

・金銭的余裕による選択肢が多い

学生起業の『勢い』には負けるところもありますが、ビジネスをするという点では上記のような大きな強みを持っているといえます。

ただし、一度会社員となると抜け出せず、そのまま会社員でいる人が大半ですので、『抜け出せないリスク』(本のタイトルにできそう)が待っているので、ここは覚悟が必要です。

これは体験談ですが、頭でわかっていても、本当に抜け出せないものです。

おわりに

書いてみると、完全に『社会人起業』推しの内容となってしまいました。

どちらが正しいというものではなく、個人的には『思い立ったが吉日』だと思います。

経営者の偉大な先輩から『成功の仕方はそれぞれだけど、失敗するところはどこも同じ』と教えていただきました。

リスクを把握しておけば、失敗から避けることができるかもしれないので、一番大事なことは『自分の弱みから目を逸らさない』ことかも知れません。

この記事が、学生や社会人問わず多くの方の成功に繋がることを願います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

他の方にも読んでいただきたいと思った方は、この記事をシェアしていただけると幸いです。

著者

株式会社キカガク

代表取締役社長 吉崎 亮介

www.kikagaku.co.jp

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